【word】縦書き文書の表を操る
概要
横書き文書の文字を左に90度回転させることで、縦書き文書に見せかける。癖は強めだが、通常の縦書き文書の表では実現できないことが実現可能となる。
用語の確認
字送り方向
文字列が連なる方向。横書きの場合は左から右。縦書きの場合は上から下。
行送り方向
行が連なる方向。横書きの場合は上から下。縦書きの場合は右から左。
縦書きフォント
フォント名の頭に@マークを付けると文字が左に90度回転するもの。正確には、文字が字送り方向と同じ向きになる(縦書き文書は元々文字が字送り方向と同じ向きなので、@を付けても変化はない)
縦書き文書の表で困ること
- 行送り方向でページ跨ぎの表を作成できない(字送り方向ではページを跨げるが使用するシーンが想定できない)
- 表の配置設定で、文字の折り返し「なし」ができない。(表がどの段落に配置されているのかも分からない。)
- 配置の「左揃え」「中央揃え」「右揃え」の挙動が意味不明。使い物にならない。
- セル内を縦書きにすると自動調整が効かない(字送り方向、行送り方向ともに挙動不安定。)
※横書き文書でもセル内縦書きにすると同じ。 - 「ウィンドウ幅に合わせる」が表の高さではなく幅に働き、段落幅(段落の高さ)に合わせられる。
本記事のテクニックで可能となること
- 行送り方向でページ跨ぎの表が作成できる。
- 表の配置設定で文字の折り返し「なし」とできる。
- 表の配置の「左揃え」「中央揃え」「右揃え」が思った通りにできる。
- 自動調整が言うこときく。(セル内の字送り方向と本文の字送り方向が一致する場合に限る)
方法1 全て縦書きとする場合
ただ文字を左に倒すだけ。
レイアウトタブ>文字列の方向>横書き(左90度回転)
- 表のセルを選択している状態だと、そのセルだけに適用されるので、表の外、もしくは文書全体を選択した状態で実行する必要あり。
- セクションが複数ある場合は、文書全体を選択して実行する。
- 横書きに戻す場合は、文字列の方向を「横書き」にする。
方法2 表の中など一部横書きを含めたい場合
テーマのフォントやスタイルを用いて倒す文字を制御するだけ。
(1)使用するフォントが1種類の場合
①テーマのフォントを縦書き用、横書き用2種類作成する
デザインタブ>フォント>フォントのカスタマイズ
(設定例)
【縦書き用フォント】
見出しのフォント:游明朝…(横書き専用フォントとする)
本文のフォント:@游明朝…(半角@マークを付ける)
【横書き用フォント】
見出しのフォント:游明朝
本文のフォント:游明朝
※英数字用フォントも適宜設定する
②セル内横書きの設定
- 当該セルのフォントに横書き専用フォントをあてる。
- 当該セルにレイアウトタブの文字列の方向から「左へ90度回転」を設定
※表ツールの文字列の方向では、「左へ90回転」は設定できない
※横書き専用フォントは、テーマのフォントからではなく、フォント一覧からテーマのフォントでないものを直接選んでも可。
※セル内横書きは自動調整がうまく働かないので、場合によっては手動微調整が必要。
(2)使用するフォントが2種類の場合
- テーマのフォントの設定は(1)に同じだが、横書き専用フォントは用意しない。
- セル内で横書きにしたいところは、フォント一覧からテーマのフォントでないものを直接選ぶ。
(3)使用するフォントが3種類以上の場合
スタイルで運用。一発切り替えにはマクロが必要。
(4)縦中横で対応(追記)
セルのレイアウトで「左へ90度回転」ではなく、縦中横で横書きにできる。漢字・仮名を含む長い文字列でも、縦中横で寝かせられる。
縦中横の設定・解除を切り替えたい場合は、下記記事を参照。
表の余白
設定上の上下余白は見た目の左右余白に、設定上の左右余白は見た目の上下余白になる。表の上下余白と左右余白では挙動が異なることに留意(下記記事参照)
留意点
- 見開きの綴じ代設定に対応できない。
- ヘッダー・フッターはテキストボックスなどで対応する必要あり。
- テーマのフォントは、1組しかファイルに残せないので、相手側で縦横切り替えができない。
- 縦中横は、文字列の向きを字送り方向に合わせるものなので、横書きで作成中も字送り方向に倒れてしまう。
- 第三者がそのファイルを見たときに扱い方が分かる可能性が低い。
その他
- PDFで配る場合は、PDF編集ソフトでページを回転しておけば、受け取り側はありがたい。
- 表の自動調整については別記事にて紹介してます。